宿に到着してその広さに驚く。
1つ1つの部屋が離れになっていて全てに露天風呂がついてるらしい。
和風のビラのような造りだ。
浴衣は何種類もある中で選ぶ事が出来て、どれも可愛くて迷ってしまう。
「お客様ならどれもお似合いになられますよ。」
女将さんに言われながら迷う事10分程、「夜になる前に決めてくれたらいいよ。」とずっと傍観者だった修哉さんに結局最後決めてもらって、紺地に百合の花の大人っぽい浴衣になった。
修哉さんはというと、3種類ほどある浴衣から一瞬で黒に白の縦線柄に決めてしまう。
「選びたかった?」
唖然と見ていた私に笑いかける。
「早くてビックリしただけです。
きっと黒が1番似合います。」
「小春が黒っぽいから合わせただけなんだけど。」
穏やかに笑う。



