風呂上がりにビールをもう一本開ける。

毎晩水代わりに飲んでたのにも関わらず、小春がうちに来てから、
いや、小春に再会してからずっと家でビールを飲ま無くなった。

小春も酒に弱いし、俺自身も飲む必要性が無かったのかもしれない。

思えばいつの間にか健康的な生活をしている。

小春は、傍で帰りに買ったプリンを美味しそうに食べている。
何気ない日常的なひとコマがとても愛おしく感じる。

不意に小春が話しかけてくる。

「修哉さん、抹茶とコーヒーだったらどっちがいいですか?」
俺がどのプリンを食べるのか気になってるようだ。

「コーヒーでいいよ。そう思って選んだんだろ?」

「そうですけど、修哉さん甘いの苦手だから
私が勝手に選んじゃってだけで、無理しないで下さいね。」
気遣い過ぎだと苦笑いしながら、
「全部食べたいんだったら別に俺は要らないから食べればいいよ。」

「そんなに食べたら太っちゃいます。」

「小春はもっと太った方が良い。倒れそうで怖いから。」

「大丈夫ですよ。
昔みたいに貧血で倒れたりしないですから。」
頬を膨らませて怒る。
どんな顔しても可愛いだけなんだが、と思いながらビールを飲む。

「ビールとプリンて合わなそうですね。」

「ひと口飲んでみる?」
えっ!と驚いた顔。
「だ、大丈夫です。あんまりお酒飲まない方がいいので。」

「確かに」
笑いながら、小春がすくったスプーンを無理やり自分の口に入れる。
「別に悪くない。」

びっくりした顔のまま固まっている。

「朝食べるから1個取っておいて。」

「…はい。」