ピピピピ、ピピピピ、
いつものように目覚まし時計が鳴る。

昨夜泣いてスッキリしたせいか、すごくぐっすり寝れた。
瞼は少し重いけど起きなくちゃ。
目覚まし時計を止めて起きあがろうとする。
右手が握られている事に気づいて修哉の顔を見る。
寝てるよね? 
静かに寝息を立てて目を伏せている修哉を眺める。
まつ毛長いなぁ。寝顔は普段より幼く見えてかわいいとも思ってしまう。

手の指も長くて綺麗。
離れ難い思いを振り切ってそっと指を一つずつ解いていく。
ビクッと体が動いて修哉が手を握り直す。

「えっ?起きてる⁉︎修哉さん?」
修哉は瞼を閉じたまま、
「今何時?」

「あっ、おはようございます。
もう、6時半です。寝てていいですよ。
朝ご飯作ってきますね。」

修哉は目を薄く開けこちらを眩しそうに見る。
「おはよう。よく寝れたか?」

「はい。昨日いっぱい泣いちゃったせいからすごくスッキリしてます。」

「瞼腫れてない?」
小春の頬に手を伸ばし優しく触れる。

「大丈夫です。」
ふんわりと微笑み手をぎゅっと握り直す。

「今日ぐらい休めばいいのに。」

「元気ですもん。休みませんよ。
今日から電車で行きますね。なんか自由に動けるんだと思うとわくわくしちゃいます。」
楽しそうに話す。
「えっ!電車⁉︎
いや、ちょっと待って。この時間混んでるんじゃないか⁉︎大丈夫なのか?」

「多分大丈夫です。早く普通の生活に戻りたいんです。心配しないで下さいね。」

「修哉さんは寝ててください。」

戸惑う修哉を後に残し身支度しに部屋を離れる。