学校に着き、教室に入る。クラスメイトたちは、思い思いの面々と既に賑やかに話を弾ませている。それはいつもの光景・・・だけどたった1つだけ違うのは、みんなの左胸には鮮やかな花が。


「紗月、おはよう。これ、よろしくね。」


クラス委員の藍沢美奈(あいざわみな)が近寄ってくると、その花を私に手渡してくれる。


「ありがとう。」


私は美奈からそれを受け取ると、みんなに倣うように胸に付ける。


「いよいよだね。」


「そうだね、もう3年経っちゃったね・・・。」


「緊張しながら、一緒に校門潜ったのが、ついこの間のような気がする。」


「本当だね。あっという間だった・・・。」


「うん、いろいろあったからね・・・。」


同中出身で、通算4年間クラスが一緒だった美奈とそんなことを語り合う。


「今日の式次第の紙、見た?」


「うん。」


「裏にさ、3年間の主な行事が書かれてたけど、1年の時と去年、今年の項目の差があり過ぎない?」


「私もそう思った。特に去年なんてスカスカだったよね・・・。」


美奈の言葉に私は深く頷いていた。


3年前、嵐の中の入学式を終え、平成最後の新入生として高校生活をスタ-トさせた私、三浦(みうら)紗月と182名の同級生達。


入学早々の学力診断テストに悲鳴を上げ、その直後のスタディキャンプで、クラスメイトたちとの距離をグッと縮めた私たちは、順調な学園生活を送り始め、そして入学からひと月足らずで、新時代令和を迎えた。


私はチアリ-ディング部に入部。先輩たちからの時に厳しく、時に優しいご指導の下、憧れのチアリーダ-への道を歩み始めた。


初めての中間考査に悩まされ、直後に迎えた体育祭は、今まで土日に行われるのが当たり前だったのに、平日開催。場所も公共の広いグラウンドを貸し切り、ギャラリ-は極端に減ったけど、今までとは違う迫力に胸を躍らせた。


やがて季節は夏を迎え、夏と言えば甲子園。公立高校ながら、全国選手権大会出場の実績を持つ我が校野球部は、地元では強豪校の1つに数えられ、活発な活動を続けている。


そして、その野球部を始め、その他のスポ-ツ部の活動の応援、応援指揮をする私たちチアリ-ディング部も彼ら、彼女たちと切磋琢磨するように練習に励み、全国高等学校選手権大会に何度も出場し、上位入賞も果たす実力を持っている。チア部と野球部は、男女それぞれの部活の代表として、学校の顔の1つになっている。