かなり歩いて着いたのは、

おそらくは屋敷の角の方にある外観でわかるほどの小さな部屋の襖の前だった。



中でどれほど騒いでいるのか。


襖を閉じているのに、がやがやと声が聞こえる。


「奥様には他の助狼と炊事・洗濯をして頂きます。宜しいでしょうか。」


炊事・洗濯ぐらいは私にもできると思う。


何せ、三人暮らしだったから。


美月は洗濯ぐらいしかできない、そもそもやらないし、


おばあちゃんは腰を痛めてからそういったものが出来なくなったから

家事は当然、私がするしかなかった。




「大丈夫です。」


拓人さんは私の言葉を聞くと、

相変わらず無表情で襖に手を掛け、



「おい、お前ら新入りだ。色々教えてやれ。」



中の人達に悪い方に感情がこもった

声を掛けた。