「優奈!? どうしたの!?」



お母さんの焦ったような声が聞える。

涙を流すことしかできない私は、お母さんの言葉に反応できない。

泣き声が一層大きくなる。



「開けるわよ!」



お母さんが部屋に飛び込んでくる。

泣き崩れている私の姿を見つけると思い切り抱きしめた。

背中を撫でてくれるお母さんの手。

優しく温かい手。


だけど、それさえも拒絶したくなる。



「触らないでっ!」



私は抱きしめてくれるお母さんを突き飛ばした。

尻もちをつくお母さん。

お母さんの目には涙が浮かんでいた。


謝らなきゃ。

そう思ったのに体が、心が、言うことを聞いてくれない。



「優奈……っ、」

「やめて! 私の名前を呼ばないで! 近づかないで!」



そう叫んだのに。

お母さんは再び私を抱きしめる。

私と一緒に涙を流すお母さん。


やめて。

やめて。

やめて。


もう人を傷つけたくないんだよっ。

泣いている人見たくないんだよっ。

だけど、このままじゃお母さんのことまで傷つけちゃうから。