「何処まで行ってきたんだい? 幾ら二人がお供をしてくれても、もう少し早く帰ってこないとママが心配するよ」
「うん……ごめんなさい。西海岸に行っていたの、夕陽を見に。ルクがココアをおごってくれた」
「そう。後でお礼をしないとね」

 扉を開いた途端、ピータンが空いている肩に飛んできた。起きる時間が早かったのは、昨夜あたしが遊んであげなかったせいかしら?

「ねぇ、パパ、ママは?」

 リビングにはあたし達だけで、隣のダイニングにもキッチンにも、ママの気配は感じなかった。

「湯浴みをしてるよ。今日のランチはご馳走だったから、まだお腹が空かないからって」
「確かに~! あたしもママが出てきたら入ろうかな?」
「どうぞ。その間にパパが軽めの夕食を作っておくから」
「ありがとーパパ」

 潮風を浴びた髪は少しベタッとしていた。ワンピースにも海や砂の匂いがついてしまっただろうか? 十五分ほどして出てきたママと入れ替わり、のんびり湯浴みから上がった頃には、ダイニングに美味しそうな香りが漂っていた。

 夕食後はリビングに移り、二人が王宮の帰りに買ってきた木苺やナッツを、ピータンに少しずつあげながら三人でお茶を飲んだ。その間にツパおばちゃんの話でも出るかな~と聞き耳を立ててみたのだけど……パパとママは再会した人達の取り留めもない話題を楽しむばかり。ツパおばちゃんはあれから答えを出したんだろうか? あたしから訊いても教えてはくれないかしら??