──アタシがお姉ちゃん達みたいに、もっとしっかりしていたら』………!!

 シュクリ山で二手に別れる前の、ツパおばちゃんの話とリンクしたのだ──「まだサリファが先代王の妃として王宮に暮らしていた頃、彼女は私の前で悔しそうに呟いたことがあるのです。「わたしが『彼女達』と同じように成人し、もっと身体が大きければ」と」

「あれって、サリファじゃなくて、エルムの言葉だったってことよね!?」
「あー……うん、多分。サリファは『悪い心の集まり』って言ったでしょ? だからあの中には色んな悪意が混在しているの。代表してサリファの声がアタシ達に話しかけてくるけど、内部は凄く混沌としているから、本当に時々だけどアタシが「出てくる」ことも出来て、ツパイはそれを聞いたのだと思う」
「そうなんだ……」
 
 確かにあの言葉を聞いたから、ツパおばちゃんはサリファと名もなき少女(エルム)を同一人物だと勘違いしたのだ。そして乗っ取ったのが十四歳のエルムだったから、サリファが他にも誰かを乗っ取るには、十四歳以上の肉体が必要だったのだろう……名前の後半で人を操るのも、『シュクリエルム』の後半『エルム』を与えられた彼女だったからに違いない。