「こ、れは……!?」

 脳裏へ映し出された鮮明な光景に、あたしは思わず声を洩らしていた。

 四人の少女達が海岸で楽しそうに(たわむ)れ、それも束の間、内陸を包んだ炎に(おのの)き、洞窟へ逃げてゆく──というヴィジョン──ツパおばちゃんの話した昔話が、内一人の少女の視点で映像化され、突然夢のように広がったのだ!

「『ジュエル』が見せた……『記憶』、なのか……?」

 隣からパパが(かす)れた声で呟いた。現状ジュエルの宿主はパパだから、もしこれがジュエルによるものだとしたら、一番リアルにヴィジョンを感じたのはパパなのかも知れない。

「どうやらジュエルは私達全員に見せてくれたようですね。が、これはジュエル自身の記憶ではない筈です。ラヴェル、貴方もご存知の通り、「この時」ジュエルは未だ存在しておりません」
「ああ……そうだった」

 ツパおばちゃんの冷静な解説に、パパは大きく息を吐き出し、こめかみを掌で覆って瞳を伏せた。

 とても辛そうな様子に思えるのは、ジュエル自身がそう感じている、ということなんだろうか?

 以前からこういったヴィジョンをジュエルに見せられてきたあたしは、この事態にも平常心を保てていた。反面アッシュとルクは初めての体験に、まだ脳ミソが混乱しているみたいだ。