先生の話を、ドアの開く音が遮り、すぐに透き通るような男の声が聞こえた。
遅刻?ギリギリじゃん。
しかも先生が話してる途中だったし。
最悪じゃん。誰か知らないけど、ドンマイだなー。
そう一人で勝手にアドバイスしながらドアの方を見る。

一瞬、時が止まったような気がした。

三秒くらいだろうか。彼と私は、見つめあった。

「おぉ、四宮。やっと来れたのか。」
「四宮?四宮って…?」
「忘れったの?四宮だよ、あの病弱の」
「あ~!思い出した!あの四宮な!」
クラスは彼の登場により驚きの声が上がる。
四宮?四宮って…誰?
「はい!今日はいろいろあって遅刻しちゃったんですけど。」
彼は私から目を離し、爽やかな笑顔で先生に返答した。
「そうか、じゃあ…ここの席座れ。それから、一回前に来なさい」
先生は頭をかいて悩むそぶりを見せた後、廊下側の列の前から二番目の席を指さした。
四宮という男は、指名された席に重そうな鞄をおいて、前に立った。
その間に先生は黒板に大きく丁寧な字で何かを書き始めた。