──最寄りの駅の改札前で、八千代くんと別れることになった。 こんなところまで来させてしまって申し訳ないな…… そんなことを伝えると、「気にしなくていいよ」って、言ってくれる。 「お礼だから」 「え」 「あそこから俺を連れ出してくれてありがとう」 風で靡(なび)く私の髪を掬い取って、八千代くんは柔らかく笑った。 そんな綺麗な仕草をした彼に、思わず目を丸くする。 「また明日ね、倉木」