触れるだけのキスから、体に力が入らなくなってしまうような大人なキスまで。

……恥ずかしながら少しずつ経験してきたわけだけれど。



「……こーいう、いつ人が通ってもおかしくないところではさ、やめた方がいいんじゃないかな……」



両手首を壁に押しつけられたまま、肩で息をする。
そんな私を見て、梓希くんはゆるりと笑った。



「スリルがあっていいかと思って」
「楽しんでるよね……」

「倉木の反応が面白くて、つい」
「お、面白いってなに!」

「はは、冗談。可愛くてつい」



ぐぬぬ……相変わらず梓希くんは余裕だ。

なんかこう、私ももっと梓希くんのこと振り回したい。
その余裕げな表情をなんとか崩してみたい。

……とか、考えてみたり。