幼なじみじゃ、いられない。


「そういえば、この辺って……あっ」


あたしの隣で、同じようにブランコに揺られていた美波ちゃん。

会話の途中、何かを見つけたように声を上げた。


ブランコから立ち上がる美波ちゃんの視線の先にいたのは──。


「あれ?ひな?」

「りっくん……」


公園の外からあたし達を見つけた、りっくん。

あたしと目が合うなり、迷うことなくこっちに向かって歩いてきた。


「こんな所で何してんの? こっちの子は……」

「空井くん!?空井くんだよね!?」

「えっ」

「私、あの、美波!牧田美波!……って、覚えてないかな。同じ幼稚園だったんだけど」


あたしが紹介するよりも早く、美波ちゃんはりっくんに話しかけていて。


「牧田さん……? えーと、あっ、もしかしていつも三つ編みしてた?」

「そうそうっ!」


「思い出してくれて嬉しい!」と、あたしの時と同じように両手を合わせる美波ちゃん。


「ひなと並んでたから。ふたりともあんまり雰囲気変わってなくて」

「え、それ、どういう意味?」

「ん?ふたりともかわいいってこと」


『子どもっぽい』とか、からかっているのかと思って口を挟んだのに、さらりと言ったりっくんの言葉に面食らって、あたしは少し顔を赤くした。