幼なじみじゃ、いられない。


小中高と今まで目立つことなく学校生活を送ってきたのに、あたしは今とんでもなく注目を浴びながら、廊下を歩いている。

その理由は、隣に大地くんがいるから。


スポーツ大会の実行委員を決めたホームルームの後、委員会の集まりに出来れば一人で向かいたかったのに、あろうことか大地くんに「行こう」と声をかけられた。

同じ委員会で同じ場所に向かうのに、断る理由が見つからなくて、今に至るのだけど……。


「ちょっ、あれ見て!」

「椎名さんと別れたって、やっぱマジだったの?」

「あの子誰?なんか今度は地味じゃない?」


聞こうとしてなくても、聞こえてきてしまう声。

知らない人達に「違います」なんて、片っ端から説明することなんて出来るはずもなく、ただ黙って歩くしかないんだけど……。


広がっていく噂話に、焦りと少し恐怖のようなものを感じた。



そして、一言も話さないまま辿り着いた教室。

閉まっていたドアを開けたのは大地くんで、その瞬間少し騒ついていたはずの室内が静まった。

どうしたんだろうと思いながら、その理由を大地くんに続いて教室に入って知る。


そこには──椎名さんの姿があった。