思わず目を固く閉じて、早口でそう挨拶をしながら私は彼――「セン」くんの向かいの椅子に腰かける。

 ――すると。

「あ、もしかして『ちぇりー』?」

 それはとても爽やかなイケボだった。

 声を聴いただけで、直感的にわかってしまった。

 「セン」くんはきっと、かっこいい人なんだって。

「そ、そう……。『ちぇりー』、です……」

 そう言いながら、私は恐る恐る目を開く。

 そして、想像通り……いや、想像以上にかっこい人が目の前にいて、私は目を疑ってしまった。

 くっきりとした二重に、すっと通った鼻筋、薄くて形のいい唇。

 ニキビひとつ見当たらないきれいな肌は、羨ましいとすら思った。

 そしてそんな見惚れてしまうほど整った顔が浮かべているのは、爽やかで愛嬌のある微笑み。

 まさか、ここまでかっこいい人だったなんて!

 こ、こんなの聞いてないよっ。

 まあ桜子も、「セン」くんの外見については知らないから仕方ないけど……。

 緊張していた私だったけれど、ますます心臓がドキドキしてしまった。

「そっか、俺が『セン』だよ」

「あ、うん」