私、どうやら千早くんのことを好きになってしまったみたいだ。

 いつから好きだったんだろう?

 思えば、最初にカフェで会った時から、私は千早くんにドキドキさせられていた。

 もしかして、あの時からもう好きだったのかな?

 今となっては、もう分からない。

 だけど確かなことは。

 思い出すだけで頬が赤くなって、心臓が大きな音を立ててしまうほどの想いを、私は千早くんに抱いてしまっていること。

 いつの間にか、私は本気で千早くんを好きになってしまった。

 ――だけど。

 千早くんが「好き」とか「かわいい」とか言っている対象は、本当は私じゃないかもしれないんだ。

 ううん。

 タイミングを考えると、十中八九私のことじゃないと思う。

 千早くんが好きなのはきっと、私じゃなくて「ちぇりー」。

 つまり、桜子のことなはずだ。

 そのことを考えると、千早くんを好きという気持ちに、暗い影が差し込んでしまう。

 私、千早くんのことを好きになっちゃダメなんじゃない?

 だって絶対に報われないよ、こんなの。

 だからやめようよ、千早くんのことを好きになるのなんて。