【一織SIDE】



「おい、何してるんだ! その人を離せ!」

 アウトレット内で、まさかの人質事件が発生してしまった。
 若い男がスタッフの一人である女性にナイフを向けて、人質に取っている。

「うるせぇ! 来たらコイツを殺すって言ってるだろ!?」

 女性はビクビクと身体が震えていて、今にも泣き出しそうだった。
 犯人はナイフを所持しているし、無理に刺激したら何をしでかすか分からない。
 ここは、刑事として冷静にいかないと……。

「麻衣、すぐに警察に連絡だ」

「う、うん……。分かった!」 

 麻衣にすぐに警察に連絡するように伝える。

「おい、落ち着け! なぜこんなことをしたんだ!?」

 俺は犯人にそう問いかけてみる。

「うるせぇ!近付くなって言ってんだろ!?」

 そして犯人の右手にあるナイフは、そのことがと同時に俺の方へと向く。

「悪いが、俺は警察だ。 お前を見過ごす訳にはいかないな」

「け、警察……!?」

 犯人は俺が警察だと聞いて、驚いた表情を見せた。

「その人を開放しろ。話なら俺が聞いてやる」

 そう言ってはみたものの、犯人は「うるせー!」と言い放つ。