「…あの花の名前は、」
食パンを口でようやく噛み切った彼女は、真面目な顔で私の目を見つめながら口を開いた。
「あの花の名前は、“紫苑”といいます。…花言葉は、“君を忘れない”」
(紫苑……)
なんて綺麗な響きだろう、花言葉も花の雰囲気にぴったりだ。
「紫苑か…良い名前だね」
その名前を何度か頭の中で反芻していた私が、噛み締めるように口を開くと。
彼女は息を飲み、そして。
「そうですね、とても良い名前です。……0114番様、忘れないで下さいね」
パンを持つ手を震わせながら、囁く様にそう言った。
(……え、)
そんな彼女の姿に一瞬困惑したけれど。
「うん、もちろん!」
私は、笑顔を浮かべて飴玉を1つ口の中に入れた。
「では、食器をお下げ致しますね。…あと、そのスマホの事はご主人様には内密にお願い致します」
食事が終わり、お盆を手に立ち上がった彼女は私の方を向いて不思議な事を言ってきた。
(?)
「実は、私も0114番様と同じスマホを持っていまして…。お揃いのものを持っているというこの喜びを、私達2人だけの秘密にしておきたいのです」
私の訝しげな顔に気付いたのか、彼女はすぐに理由を説明してくれた。
食パンを口でようやく噛み切った彼女は、真面目な顔で私の目を見つめながら口を開いた。
「あの花の名前は、“紫苑”といいます。…花言葉は、“君を忘れない”」
(紫苑……)
なんて綺麗な響きだろう、花言葉も花の雰囲気にぴったりだ。
「紫苑か…良い名前だね」
その名前を何度か頭の中で反芻していた私が、噛み締めるように口を開くと。
彼女は息を飲み、そして。
「そうですね、とても良い名前です。……0114番様、忘れないで下さいね」
パンを持つ手を震わせながら、囁く様にそう言った。
(……え、)
そんな彼女の姿に一瞬困惑したけれど。
「うん、もちろん!」
私は、笑顔を浮かべて飴玉を1つ口の中に入れた。
「では、食器をお下げ致しますね。…あと、そのスマホの事はご主人様には内密にお願い致します」
食事が終わり、お盆を手に立ち上がった彼女は私の方を向いて不思議な事を言ってきた。
(?)
「実は、私も0114番様と同じスマホを持っていまして…。お揃いのものを持っているというこの喜びを、私達2人だけの秘密にしておきたいのです」
私の訝しげな顔に気付いたのか、彼女はすぐに理由を説明してくれた。



