あれから、数週間が経った。
何とか熱は下がったものの、私は心配性の大叔母さんから外出禁止令を出され、トイレとお風呂以外で部屋の外に出る事を禁じられていた。
しかも、部屋の外に出る時は決まって0823番と一緒でなければならず、下を向いて移動するように言われていた為、部屋の外の景色を見た事がなかった。
「どうなさいましたか、0114番様」
鈴を鳴らすと、すぐに0823番が駆けつけてくれる。
「暇なのー、私も勉強しちゃ駄目?」
何もない部屋に嫌気がさしていた私は、たまにこうして用もないのに彼女を呼び出していた。
「ご主人様の許可が下りていないので駄目ですよ。退屈なのも分かりますが…。そうですね、ではこちらのエプロンを畳むのをお願いしてもよろしいでしょうか?」
今日彼女が持ってきてくれたのは、2つのバスケットから溢れる程大量に積み重なった、エプロンの山だった。
「…げ、」
「こちらは私達下僕が使用するエプロンになります。0114番様もゆくゆくは使用することになりますよ」
白と薄い茶色のストライプ柄のそのエプロンは、確かに0823番がつけているものと同じものだ。
「こんなに大量に畳むの?私が?」
「たった今、暇だと仰っていたではありませんか。将来下僕になる為の試練だと思えば、楽勝ですよ」



