ママの手料理 Ⅱ

私が分かるのは、大叔母さんに育てられた事と、小さい時から面倒をみてくれているこの下僕の女性の事。


(んー、)


また考えたくなったけれど、頭痛が怖いので止めておいた。


「いえ、大丈夫ですよ。ゆっくり、時間をかけて思い出して下されば大丈夫です。そんな事より、お粥が冷めてしまいますよ」


「あ、本当だ。…それより0823番、そんな硬そうなパンじゃお腹空かない?このお粥あげようか?じゃなきゃ、飴でも」


優しい彼女の声を聞きながら、私は新たな提案をする。


高校生か大学生くらいの女性の夕飯が硬いパン1つなんて、どう考えても腹の足しにならないに決まっている。


そう思ったのだけれど、


「いえ、私はダイエット中ですので。それにその飴は薬ですし、お粥は0114番様の食べかけではありませんか」


ふふっ、と笑顔を見せた彼女の言葉は正論過ぎて、引き下がるしかなくて。


「あははっ、それもそうだね。食べかけなんて嫌に決まってるよ!」


「0114番様のお粥を食べて私が熱を出したら、0114番様のせいになってしまいますしね」


私達は、顔を見合わせて笑い合った。



私達は、ずっとこういう風に笑い合いながら育ってきたのだろうか。


何も覚えていなくても、彼女といる時間が楽しいと思えるのは嘘ではないと思えた。