ママの手料理 Ⅱ

私のせいですっかり赤くなってしまった手を擦りながら微笑んだ彼女は、私を薄い布団に寝かせながら口を開いた。


「0114番様は、小さな頃からあの方…大叔母様にとてもよく懐いていました。大叔母様は私達のような下僕を育てるお仕事をなさっていて、0114番様もゆくゆくはその道を歩むのだと張り切っておられました」


正直全く身に覚えのない話だけれど、小さい頃からわたしの面倒をみてきた彼女が言うのだから本当なのだろう。


「…それで、?」


「0114番様は私ともとても仲良くして下さって…。この家を抜け出して一緒に買い物に行ったこともありますし、授業中にノートに落書きをして2人で怒られたこともあります」


「へぇー、」


彼女にそう言われると、ずっと昔にそんな事をした気もする。


「授業って…、私、学校行ってたの?」


私は、学校なんて行っていただろうか。


確かにノートに何かを書いたり、参考書を読みながら問題を解いていた気がするけれど、別に学校にいた訳では…。


「いえ、大叔母様のお友達の先生がこの家に来て下さって、そこで授業を受けていました。私も0114番様も、英語と中国語の成績はとても良かったんですよ」


また頭がズキズキと痛み出していたけれど、彼女の言葉でそれは無くなって。


「そうなんだ、っけ…」