ママの手料理 Ⅱ

「あー最高、やばい生き返ったー!」


シャワーを終え、胸まで伸びた黒髪を雑に括った私は、悠々とした足取りでリビングに向かった。


目指すは朝食、匂いからして今日のご飯は目玉焼きとウインナーだろう。


「おはよう!」


リビングのドアを開けると、もう全員がテーブルに勢揃いしていた。


私の事を待ってくれていたのか!、と胸が熱くなりながら自分の定位置に座ると。


「おはよう紫苑ちゃん!…あ駄目だ、なんか泣けて来たわティッシュ何処」


「こちらにございます」


隣に座る大也は私に挨拶した瞬間に涙目になって笑美ちゃんからティッシュを受け取り、


「おはよう!まずは朝ご飯食べよう!今日は紫苑の記憶復活祭を開くから、食べ終わったらケーキ作りしよう!」


「ケーキなんて買えばいいだろ」


「何言ってるんですか銀河さん、心のこもったケーキは手作りから生まれるんですよ」


異常にテンションが高い湊さんの大声に被せるように銀ちゃんがぼそりと独り言を呟き、それに対して航海がムスッとした顔で訂正を入れていた。


その隣では、


「記憶復活祭ってダサいなぁ。まるでキリスト復活祭みたいで」


仁さんがいつもの様に笑いながら貶し始め、


「笑うな黙れキモい死ねクソナルシスト」


悲しいかな、琥珀からいつもの様に笑う事も話す事も生きる事も拒絶されていた。