ママの手料理 Ⅱ

「俺の言ったのはあくまでも仮説だ。あいつは俺らと一時的に家族として過ごしてきたが、敵討ちをした後はうやむやになってたじゃねーか」


「それもそうだ、けど…。やっぱり、男ばっかりの環境が良くなかったのかな?俺らが怪盗だから?…それとも、またOASISが誘拐したとか?」


負けじと、今思いついたこと全てを口にする。


「この環境をあいつがどう思ってたか知らねぇが、俺らが怪盗じゃなきゃあいつの敵討ちはいつまで経っても果たされなかった。OASISは俺らが壊滅させたからあいつには害は無いはずだ」


銀子ちゃんの素晴らしい答えに、俺は同意として大きく息をついた。


「だよねー。…早く戻ってきてくれるといいけど、」


最初に会った頃の彼女は精神もボロボロで、過呼吸になったり真夜中に泣いたり、まるでいつかの俺達を見ているようだった。


OASISとの闘いの日、リーダーである荒川次郎の死体を見ても声一つ上げなかった彼女の姿は、元気に見えるけれどやはり心に傷を負った少女そのもので。


退院して以来、見違える程生き生きとして笑顔も多くなった彼女からは悩み事があるようには感じられなかった。


朝、当たり前に紫苑ちゃんと挨拶をしてふざけあって、たまに真剣な話をして、夜はおやすみと手を振って眠りにつく。