ママの手料理 Ⅱ

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「……ただいま、」


結局、俺ー伊藤 大也ーが帰宅したのは深夜2時を過ぎた頃だった。


皆疲れて寝ているだろうな、と思いながらリビングのドアを開けると、案の定そこには湊と仁が居て。


「おかえり」


「お風呂入りな」


あんなに酷い飛び出し方をしたのに、あんなに気持ち悪い発言をしたのに、彼らはいつもと変わらずに笑顔を向けてくる。


どんな顔をしたらいいか分からなくて、ただ無言で2人の間をすり抜ける。



「ねえ」


階段に繋がるドアを開ける直前、仁のやけに澄み切った声が空気を揺らした。


ドアノブに伸びた手が宙で止まる。


「勘違いしてると悪いから言っておくけど、誰も大也を気持ち悪いなんて思ってないからね」


(っ………)


瞬間、また否定的な真っ黒い感情が首をもたげる。


その言葉を素直に信じられる純粋な心があれば、どんなに幸せだろうか。


でも、紫苑ちゃんは確かにあの時俺を、俺という存在を拒否したんだ。



何かを言わないと、と口を開けるけれど、結局良い言葉なんて浮かんでこなくて。


代わりにぎゅっと唇を噛み締めた俺は、黙ってリビングを出た。