ママの手料理 Ⅱ

その意図が汲み取れず、リストバンドから彼に視線を流すと。


「ほら、紫苑ちゃんの左手首、傷が付いてたでしょ?そこって目立つ所だし、何かと目を引くんだよねぇ」


説明しながら、彼は自身の左手首を見せてくれた。


そこには、黒色のリストバンドが付けられていて。


「傷が癒えてからでいいから、それ付けてみなよ。航海もそこに傷があってね、此処に来たばかりの頃は僕の貸したリストバンド付けてたんだよ」


ああ、さっき見せてくれたあの傷か、と思いつつ、私は頷いた。


「何かさ、お揃いみたいでテンション上がるじゃん?…それとも、お揃いは嫌?」


「いえ、そんな事ないです」


「良かった」


信じられない程強烈な圧をかけられた。


「じゃあ、傷が治ってきたら有難く付けます…ありがとうございます」


座ったまま軽くお辞儀をすると、


「あ、それあげるんじゃなくて貸すんだからね?後々返してもらわないと痛い目に合わせるからね」


軽く脅された。


「わ、分かってます!…ところで、仁さんのそれは何かを隠してるんですか?」


彼も、私や航海の様に何かの傷を隠しているのだろうか。


大きく頷いた私が、そっと黄金比男ー仁さんーの左手首に目をやると。


彼は一瞬目を見開いて、


「ん?これはファッションだよ。元から出来上がってる僕の美貌を際立たせてるよね」


自分が容姿端麗なのをこれ見よがしと自慢してきた。