ママの手料理 Ⅱ

少なくとも僕の知ってる家族とは真逆だよ、と、彼は私に真剣な瞳を向けてきて。


彼は昨日私の所に来たのだから、事の一部始終を知っている。


それはつまり、彼の言葉に嘘はない事を証明していて。


「…0823番、君と同じ髪飾り付けてたよ。“命をかけて0114番様をお守りします”みたいな事言ってたし。結構良い子だったのかな」



ああ間違いない、その台詞は0823番のものだ。


昼食後に彼女が私にかけてくれた言葉もそれだったし、次会う時までに髪飾りを付けておく約束もした。


「…死んだ、?」


優しかった大叔母さんが死んだという事実より、あんなに優しくしてくれた0823番がこの世に居ないという事実の方が何十倍も辛くて。


信じたくない現実を認めてしまった瞬間から堰を切ったように溢れ出す涙を止める事が出来ず、私はサングラス男に支えられながら部屋に戻る運びとなったのだ。



「……悲しいですか?」


ベッドに腰掛けて遠慮なくティッシュで鼻をかむ私に、床で体育座りをしているサングラス男が尋ねてくる。


「悲しいに決まってるでしょ…!」


まだ脳がそれを受け入れるのを拒否しているけれど、此処に居る限り彼女達と会う事が出来ないことは嫌でも理解している。