ママの手料理 Ⅱ

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「0823番っ……嘘、死んだなんて嘘…!」


「紫苑さん……ティッシュ、どうぞ」


大也さんが家を飛び出して行ってから2時間後の現在、私は今まで自分が寝起きしていたーらしいー部屋で大号泣していた。


隣でそっとティッシュを差し出してくれる優しいサングラス男の姿も、ぼやけ過ぎていて捉える事が出来ない。



大也さんが居なくなった後、私は例の飴玉の話をした。


偶然ポケットの中に入っていたティッシュに包まれた飴を見せると、パソコン男と殺気男が協力してその飴に入っている成分を検出してくれる事になった。



その後は、湊さんが私の生い立ちのような話をしてくれて。


その話によると、どうやら私はかなり複雑な過去を背負っているらしい。


名字が変わったり家族が死んだり、何故かこの家に住む事になったり…。


全てが0823番から聞いた話と正反対でにわかには信じがたい話だけれど、彼らが私を大叔母さんの元に戻す気がない以上どうにも出来なくて。



夜も遅くなり、冷めて伸び切ったうどんの片付けをし始めた下僕の笑美さんを尻目に、


「0823番と大叔母さんに会いたいんですけど…」


と、私が駄目元で尋ねた時だった。