ママの手料理 Ⅱ

何処か自慢げな表情を見せるパソコン男のスマホが突如鳴り響き、


「本当だ…。凄いねこれ、まあ使う機会なんてないだろうけど」


先程から立ちっぱなしの黄金比男が、自分のスマホを片手に感心したように呟いた。



「このスマホしばらく借りるぞ。パスワード特定しねーといけねえから。いいな」


直後、パソコン男はそう言い切り、私がうんともすんとも言わないうちに私のスマホを自分のポケットに入れてしまった。



「……それでなんだけど、紫苑。紫苑はその大叔母さんとやらの家に行く前の事は覚えてるかな?」


一旦話題が途切れ、次に私に質問してきたのは湊さんだった。


「だから、私は大叔母さんと生まれた時から一緒に住んでるんです。そこでは授業も受けられて…」


サングラス男性が静かに頭を抱えるポーズをとったのが見えたけれど、無視を決め込んだ。


「私は0823番と一緒に英語や中国語の授業を受けてたんですけど、たまに抜け出して買い物に行ったりしてました。この髪飾りだって、0823番と一緒に買ったんです」


そこで、私が自分の髪に付けていたピンク色の蝶の髪飾りを外してテーブルに置くと。


「そ、それは……」