ママの手料理 Ⅱ

現に、OASISに攻め入ったあの日も俺らは逮捕一歩手前の所まで追い込まれた。


何せ、有り得ない程大量の敵を怪我させ、殺してしまったのだから。


ここで琥珀とリンちゃんが裏で手を回さなかったら、俺達はmirageを解散して今頃伊織と揃って独房の中。


もし万が一、家出した紫苑ちゃんが誰かに俺達の正体を言っていたら…。


その最悪のケースが、全員の頭をよぎっているというわけだ。



「明日のお昼までに紫苑が帰って来なかったら、警察に届け出ようと思う。…僕はもう少しここにいる予定だから、2人はもう寝な。4時過ぎてるし、大也も眠いでしょう?仁も、お店には航海が居るからゆっくり寝ていいよ」


湊の静かな声に、俺ははっと我に返った。


言われてみれば今の時刻は4時を大幅に過ぎていて、俺はほぼオール状態だった。


「いいの…?じゃあ寝るね、湊はどうするの」


「僕は…紫苑が帰ってきた時に此処が暗かったら嫌だろうから、起きとくよ」


欠伸を噛み殺す俺に向かって微笑んだ彼の台詞はあまりにも素敵すぎて、最早大菩薩に見えた。


(さすがリーダー…)


「分かった。…じゃあおやすみ」


「お言葉に甘えて寝ることにするよ。君が寝不足で倒れるのが1番困るから、そこだけよろしくね」


俺と仁は揃ってリーダーに手を振ると、リビングを後にした。