「すみません、今僕の事どんな風に見てますか?嫌ですよ、僕は大也さんとそういう事する気ないですから」


いつの間にか部屋着を着た航海の棒読みの声で我に返った俺は、慌てて首を横に振った。


「ちょっと止めてよ、俺の方こそイヤらしい事考えてないわ!」


俺がずっと航海の方を見ながら物思いにふけっていたからか、変な誤解を持たせてしまったようだ。


(今ので何考えてたか忘れたわ…)


それを航海に伝えると、認知症ですね、とぎこちない薄ら笑いが返ってきた。


「うるさい馬鹿」


「そんな事より、ゲームやりません?夜は紫苑さんの話聞くのでゲームする暇ないと思いますし」


「…良いけど、俺勝つよ?」


いつの間にか話題は変わり、俺はにやにや笑いながら航海のベッドに座って宣戦布告をした。


「始める前からそういう事言わないで下さい、因みに僕レベル51なので」


視界を良くする為に邪魔な白い前髪をちょんまげのように結いながら、俺は不敵な笑みを浮かべる。


「レベル63の天才ホストに勝てるわけないでしょ」


「先に言っておきますが、僕の装備は課金したので最強レベルです」


紫苑ちゃんの睡眠を妨げないよう、ゲームの音量を下げた殺人サイコパスがコントローラーを投げてくる。


それをしっかりと受け取った俺は、力強くそれを握りしめた。


「「よーい…スタート!」」