「……寝たか」


「寝たっぽい。俺も寝るわ」


紫苑ちゃんを抱きしめる手を解くと、彼女はゆっくりと窓にもたれて動かなくなった。


「飴舐めろ。着いたら起こすから」


銀子ちゃんの言葉の前に飴を舐め始めていた俺は、もう舐めてるよ、と回らない舌で返事をする。


すぐに眠くなってきて、俺も目を閉じた。



マカロンとケーキと果物がいっぱいの夢の世界が手招きをしている。


その世界に吸い込まれる直前、





『……大也、…良く頑張った』





無線機は切ったはずなのの、何故か琥珀の美しい声が聞こえた気がして。


(あ、夢で琥珀とスイーツ食べ放題行けるのかなぁ…)


何処までも単純で馬鹿な俺はそんな事を考えながら、意識を手放した。