「…大丈夫?」
助手席に倒れ込むように座った仁に声を掛けると、彼は虚ろな目をして微かに頷いた。
「皆の事、見た?」
控えめにそう聞くと、
「見た。…全員、もう…」
彼は目をぎゅっと閉じ、首を振りながら悔しそうに言葉を紡ぎ。
「染井佳乃の胸にナイフを刺したまま息絶えてた子が居て。その子が多分、僕達と一番最初に出会った、」
(0823番か…)
今まで消音にしていたイヤホンの音量を今更上げつつその報告を聞いた俺は、大きく息を吐いた。
“ここは、私達が命にかえて食い止めます!”
彼女の最期の言葉は、現実のものとなったのだ。
「……帰るか」
俺達の会話を黙って聞いていた銀子ちゃんが息をひとつ吐き、エンジンをかけた。
その時。
『待って下さい!今その旧校舎に居る人達、助ける事は出来ませんか!?』
イヤホンから、落ち着きを取り戻したらしい航海の切羽詰まった声が聞こえた。
彼の言う人達は、最初に俺達が見たような下僕候補者の事を示しているのだろう。
「…その気持ちは分かるが、生憎この車に乗せられる人数は限られてる。200人超えの人間は乗せられねぇよ」
暫しの沈黙の後、銀子ちゃんが前だけを見据えながらゆっくりと答えた。
助手席に倒れ込むように座った仁に声を掛けると、彼は虚ろな目をして微かに頷いた。
「皆の事、見た?」
控えめにそう聞くと、
「見た。…全員、もう…」
彼は目をぎゅっと閉じ、首を振りながら悔しそうに言葉を紡ぎ。
「染井佳乃の胸にナイフを刺したまま息絶えてた子が居て。その子が多分、僕達と一番最初に出会った、」
(0823番か…)
今まで消音にしていたイヤホンの音量を今更上げつつその報告を聞いた俺は、大きく息を吐いた。
“ここは、私達が命にかえて食い止めます!”
彼女の最期の言葉は、現実のものとなったのだ。
「……帰るか」
俺達の会話を黙って聞いていた銀子ちゃんが息をひとつ吐き、エンジンをかけた。
その時。
『待って下さい!今その旧校舎に居る人達、助ける事は出来ませんか!?』
イヤホンから、落ち着きを取り戻したらしい航海の切羽詰まった声が聞こえた。
彼の言う人達は、最初に俺達が見たような下僕候補者の事を示しているのだろう。
「…その気持ちは分かるが、生憎この車に乗せられる人数は限られてる。200人超えの人間は乗せられねぇよ」
暫しの沈黙の後、銀子ちゃんが前だけを見据えながらゆっくりと答えた。



