そこに書かれた言葉は全て、紫苑ちゃんに呼び掛けられているもので。


(何、これ…)


背中に嫌な汗が流れる。


最後に湊がメッセージを送ったのは夜の11時を過ぎていて、その後何も連絡が入っていないということはつまり、紫苑ちゃんはまだ家に帰ってきていないということで。


(え、どうしよどうしよ…!)


焦りながらも、俺はとりあえずすぐ帰る旨の連絡をして外に飛び出した。





家出か、迷子か、思春期云々で起こる一時的なものなのか。



根拠のない仮説を立てながら、俺はネオンカラーが煌めく街を一気に駆け抜けた。





深夜の外の世界は、まだ白い息が出てしまう程に寒かった。