ママの手料理 Ⅱ

「絶っ対嫌なんだけど…琥珀代わりに来ない?」


机に伏した格好のまま上目遣いに琥珀を見つめると、彼の冷たい目が俺を睨んでいた。


「うるせ、俺は行かねぇよクズ。お前とナルシストとクソハッカーだけで何とかなんだろ」


「待って、ナルシストって仁だよ!壱じゃないよ!?」


そもそも彼が今までの会話を聞いていたかどうかすら怪しいから、それを確かめる様に喚くと。


「俺は、チビが戻るなら何だっていい」


何とも無責任な発言が彼の口から飛び出した。


(っ…責任転嫁しないでよおお…)


下唇を噛んだ俺は、黙ってテーブルに顔をつけた。


「…仁、大丈夫なの?出来る?」


真上から、湊の心配そうな声が聞こえてくる。


そんな声を出すなら自分が参加すればいいじゃないか、と思ったけれど、そんな事を口にしたら仁に何を言われるか分からないので黙っておいた。


「君達さ、僕の事を誰だと思ってるの?君達より少しイケメンに生まれてきたからって余計な心配は無用だよ?」


隣からは、何処から自信が湧いているのか、謎に自信満々な仁の声が聞こえてくる。


「じゃあ、紫苑を盗むのは銀河と大也と仁に任せようと思う。計画立ては明日から始めるから、宜しくね。銀河も出来るだけ場所の特定は進めて欲しい」