ママの手料理 Ⅱ

「まずはバスの運行情報を手に入れる必要があるな。バス会社は何だ?…おお、これか…」


パソコンからはデータを読み込む音が鳴り続き、


「…なるほど。この地点でアナウンスが流れるとして、半径がこの位、そんでもってこうして…」


銀子ちゃんは、バス会社のハッキングと同時並行でバスがアナウンスをする場所の特定を行っていた。




実に3ヶ月振りに、怪盗mirageが動き始めた。




「じゃあ、銀河が場所を特定するまで、誰が紫苑を盗むか決めよう。今回は短時間で済むだろうし、全員行く必要は無いと思うから挙手制で。…行きたい人ー?」


「はーい!」


「俺が行く」


まるで遠足に参加する人を決めるかのようなノリで尋ねた湊に、俺と銀子ちゃんが迷わず挙手をした。


「銀河はハッキングと指示出しがあるから決定ね。大也は…?」


「紫苑ちゃんは俺に電話をかけてきた!だから、俺が行って助ける義務があると思う!」


いつもの微笑みをたたえたままこちらを見てくるリーダーに、俺は理由を説明した。



彼女が俺に電話をかけてきたというのも理由の一つだけれど、そもそも凍えそうな冬の夜に彼女を初めて見つけたのは俺だ。


俺が、必ず彼女を連れ戻してみせる。