「もう、どうでもいいよ」
強がりだとわかってる。
だって、今、清太郎の目を見て話をすることができない。

「俺はどうでも良くない。あれは強制見合いだったんだ。断るつもりだから敢えて麻衣には伝えなかった。それがあんな形で知られるくらいならキチンと話をすれば良かったと後悔してるよ」


「強制見合い?」
さすがに思ってもみないワードがでてきて、声が裏返る。





「そう、もう半年も前から言われていて、取引先の社長のお嬢さんと見合いして欲しいって、俺には麻衣がいる事を伝えて断っていたし、カフェの方も大詰めだし適当にあしらってたが強引にセッティングされた」

「でも、若くて可愛くて社長令嬢なんて逆玉じゃない」

「別に俺は程よく熟した美人の方がいいし、逆玉とか煩わしいだけだろ!料理が美味くて染み抜きが出来るベッドではエロい女が好みなんだよ」

「なっ!何それ」

「この間、麻衣の本心が聞けて良かった。確かに忙しくて変な空気にしてしまったし、麻衣が俺に冷めてる気がして身体だけでも繋げようとしたことが裏目に出ていたことも分かった。合鍵を使わなかった事も何年も経ってわかるとか」

「本当に悪かった」

清太郎は真っ直ぐに私を見つめている。


「それって、清太郎が私のことめちゃくちゃ好きって聞こえる」

清太郎を見ると切長の目が大きく見開いて、みるみる顔が赤く染まっていく。

え!清太郎がデレてる

「そ・・・」

ブブッ  ブブッ  ブブッ  ブブッ

清太郎が何か言おうとした時にものすごい勢いでLINEの通知音が鳴り響いた

「すげぇメッセージが入ってるけど、もしかして婚活パーティでLINEのIDとか教えたのか?」

「パーティ会場では誰からも聞かれてないし」

一瞬清太郎の片眉が上がる
「会場では?」

「だから、会場ではで誰ともマッチングしてないし、ただ偶然会社の子が参加してたから」

「そいつに教えたのか?」