そして時間になり、真坂さんによる研修が始まった。

「笹本さん、ちょっとここ曲がってるかな?」

「す、すいません……!」

 はあ、私ったら……緊張してしまって、上手く出来ないかも。

「緊張しなくていいよ。ゆっくりでいいからね」

「は、はい」

 マネキン相手に長さを揃えて切っていくのだが、ちょっとでも長さが変わるだけで印象が変わってしまうから、この微妙な調整って難しいんだ。

「あの、こんな感じでどうですか?」

「どれ? うん、いい感じだね。長さ揃ったね」

「はい」

 良かった……。こういう微妙な調整って難しいから、上手くいって良かった。

「皆さん、カットの方のこれくらいにして、次はカラーの方の講座に入っていきますね。 その前に十分休憩しましょうか」

 休憩を十分ほど取ると、再び講義は再開される。

「そうそう、そんな感じです。髪の毛一本一本にしっかり行き渡るように、しっかりと馴染ませてください」

 カラーの講義を担当する担当のスタイリストさんからの言葉に、私たちは「はい」と返事をしていく。

「まずは色をしっかりと入れるために、根本の方から染めていってくださいね」