「高橋さんはやさしいよね。授業の遅れの事気にしてくれたり、僕一人が目立つみたいになることを気にしてくれたり」

でも、疑いのない純粋なまなざしで目を見られると、ちょっと心臓に針がぶすっと刺さったみたいに痛い。あかねは力なく、ううん、そんなことないよ、と言って俯くしかなかった。あかねの罪悪感を払しょくするように玲人があかねの顔を覗き込んで言った。

「僕、席が高橋さんの隣で良かったな。高橋さんと友達になれて良かったよ」

間近で見る推しの顔は爆裂的にきれいで美しくて世の中の全てを浄化するような微笑みだった。

バクン! と心臓が拍動を打って、そのまま体中を疾走する。

ぶわあーっと顔が赤くなったのを自覚した。

ほっぺたがめちゃくちゃ熱い。

「あ、近かった?」

ごめんね、距離感分からなくて。

照れてそういう玲人は、でもあかねの顔を覗き込んだまま、こう言った。





――「今日、一緒に駅まで帰らない?」