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「聞いてよ、サナちゃーん」


弁当箱も開けずに、頬杖をついて口を尖らせているのは、可愛川沙葉。私の親友。

名前が芙紗奈(ふさな)だから、サナちゃんって呼ばれている。

沙葉とは小学校の時から一緒で今までずっと仲がいい。とっつきにくい印象を抱かれる私には奇跡のような存在なのだ。



「また新谷くんが告白されててね?
人気者なのはわかってるんだけど、なんか、いや」

「ふっ、新谷くんは沙葉のだもんね?」

「そ、そこまでは言ってないけどさ」



高校2年の夏の終わり頃、沙葉には初めての彼氏ができた。

相手は校内でも人気者の新谷くん。
あまりいい噂は聞かなかったけど、沙葉を好きになってからはちゃんと一途でやってるみたいだから認めてあげている。

まぁ、でも、やっぱり告白は絶えないかあ。



「大丈夫大丈夫、私が見てる限り、新谷くんの方が好き度が上だから」

「えっ…」