「恩と金はまわすものだって、羽巣さんが言っていた」 「あー! それは恩とお金ならそうですけど。絹笠さんがくれたの、愛情じゃないですか。返さないと」 「……そうか」 手を引かれて、ペンギンコーナーの前に二人並ぶ。 「返さなくて良い」 「でも、受け取るばっかりでも」 わたしにできる範囲で返すくらいなら。 「愛情は注ぐものだ」 その言葉に顔を見上げる。口付けが額に落ちた。 20220321 END.