四月、美しい桜の花が春風に舞い、雲一つない青空が広がる中、愛沢蕾(あいざわつぼみ)と五十嵐優斗(いがらしゆうと)の結婚式は行われた。

優斗の地元の有名な神社で行われた神前式は、参列者は互いの身内だけでひっそりと行われた。

「蕾、すごく綺麗だよ」

白無垢を着た蕾に、紋付袴を着た優斗はニコリと微笑む。蕾は少し恥ずかしそうにしながら、赤い顔で優斗を見上げる。

「五十嵐先生も、とても素敵です」

蕾がそう言うと、「こら」と優斗に頬を包まれる。

「もう「先生」じゃないでしょ?蕾は学校を卒業したんだから」

「うっ……優斗、さん……」

未だに呼び慣れない名前を蕾が言えば、優斗は嬉しそうに笑う。そして「よくできました」と蕾のおでこにキスを一つ落とし、蕾の顔はさらに赤くなる。

蕾は優斗が教師として働く高校に通っていた生徒だ。在学中に優斗から告白されて付き合うようになり、こうして今日夫婦になろうとしている。