櫻井side




どの部活も毎年、卒業前になると最後の部活で卒業試合というものが行われるらしく。

それは部活や学校で内容は異なるとしても。

俺が所属する、私立白栄高等学校の剣道部にも当てはまる行事らしい。


高校で3年間培ってきた実力を仲間でありライバル同士で試合することで、コーチや顧問に見せるというもの。


そんなものを後輩の俺たちは、道場の周りを囲むように正座して黙って見つめる。



「大学に行って続ける者とそうじゃない者、様々だと思うが今後OBとしてたまには顔出せよお前ら!
最高の部を作り上げてくれてありがとうな!」


「「「はい…!!」」」



ほとんどの3年生が泣いていた。

傍らで見守るひとりのマネージャーも目元を拭ってはいるが、俺はそんなものを見ると腸(はらわた)が煮えくり返りそうだった。


その涙も嘘ってバレバレだ。

誰がそんなものに騙されるんだ、俺は絶対に騙されない。



「ちょっと時間余ったな、なにかやりたいことあるか?」


「はい」


「お、櫻井。どうした?」



俺はまっすぐ手をあげた。

それに気づいた顧問は首をかしげるように聞いてくる。