願わくば溶けて




* * *





あの子のことは気にしない。




…… 気にしない、ってつい数分前に決意した筈なんだけどなー。



手には真新しいカイロとインスタント味噌汁のカップ、とついでにポット。



玄関から顔をこっそりと出せば目の前には先程の女の子が鼻を真っ赤にして手を擦っていた。



いや、だってさ、だってさ!



まさかこんな時間まで居ると思わないじゃん。



…… もう居ないと思って見てみれば居るんだし。



ていうか、もう11時過ぎだぞ!11時過ぎ!