夜が明けると、新しい一日が始まる。だが新しい一日が始まったとしても、昨日のことは消えることはない。

(私、零さんとキスしたんだ……)

ベッドの中から華恋は出ることができなかった。昨日のことが頭にすぐに浮かんでしまい、顔が赤くなってしまう。このような顔で零の前になど恥ずかしくて出ることができない。

家に帰った後、零からはたくさんお説教を食らった。零はバーに華恋が行き始めた頃から何か隠し事をしていると睨み、傑との電話の会話を唇の動きから読み取り、ずっと一日尾行していたのだという。

「自分の奥さんが他の男と楽しそうにしているなんて、見ていてちっとも嬉しくないんだからね?次に男と二人でいたら家に閉じ込めるから!」

寝る間際にそう言われ、また華恋の唇は零によって奪われてしまった。その時、零は怒っているというのに、華恋の心臓はずっと高鳴り、なかなか寝付けなかった。

「こんな顔で零さんと会いたくない……」