溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

そのままそっと,凪は両手で包み込むように,私の顔を持ち上げる。

合わさった瞳からは,訊ねるような優しい温度を感じた。



「な…ぎ……」



ぎゅっと首に手を回して抱きつくと,また空気が大きく揺れる。

凪はそっと息を呑んで,ぎゅっと優しく私を包んだ。

温かくて,やっぱり優しくて。

私はまたぽろぽろと涙を流す。



「凪,凪」

「うん」



ぽんぽんとあやすように,背中に温もりを感じる。

ほっとするなんて言葉じゃ表せないくらい,今ここに凪がいることが嬉しい。



「凪,あのね。無理だと思ったけど,ちゃんと最後まで出来たの。完成しないって色んな人が思ってたけど,皆手伝ってくれたの」