溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

でも。

そう思ってたんだ…

そっちの方にへこんだ。



「心当たりは,ある」

「兄ちゃん?」



高校生にもなってそんなわけ…

だけど,何て言おう…

"近所の"お兄ちゃん?


「違う」

「えっ彼氏?!!」



なんでそんなに驚くの。

彼氏じゃ,ないし。

じゃあ,幼馴染み?

  

「違う。なんでもいいでしょ」



婚約者なんて,冷たくていいたくない。



「別にいいけどさ,真理ってなんでいつもそんな冷めてんの? 全然笑わないし」

「っ冷めてなんか…っ」



~っ

顔を歪めた私の目に,驚いた顔の千夏くんが映る。



「早く,いくよ」

「ん,うん」