溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

うん,時間もいい感じ。

お昼を食べ終えた私は,チラリと時計を確認した。



「行くよー」



えっ

と,お弁当を片付けて掛けられた言葉に驚く。

待っててくれなくても良かったのに。

必然的に,私達は隣を歩いた。

沈黙しているわけにもいかないと更に考え込むと,千夏くんが声をかけてくる。



「真理ってさーそういえば,いっつもイケメンと歩いてたりする?」

「えっ」



聞きなれない声が私を呼ぶ事が不思議で,顔を上げた私が驚く。

凪の,こと?



「なんかちっちゃい黒髪の後輩が毎日イケメンと登下校してるって」

「それで,私だって?」

「うん」



ちょっと,失礼。

むっと顔をしかめて千夏くんを見る。