溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。

「っ…真理?」



後頭部を押さえる凪の声が,聞こえる。

私はバッと起き上がり,背中を壁につけて,ちゃんこ座りをした。
そしてふるふると両手を持ち上げて,顔を埋める。



「ご……めん」



精一杯の謝罪。

ちゃんと音になっただろうか。

凪に聞こえたかな。

そんな確認すら,顔をあげられない私には出来ない。



「真理,泣いてるの?」

「ちっ違っ」



勘違いする凪に,私は思わず顔をあげてしまった。

あぁ…っ

そして直ぐに顔をもとの位置におさめる。

でも凪は私をバッチリ見ていて,目を丸くした。

最…悪。



「真理,どうしたの?」



凪が微笑んで,私を見ながら立ち上がる。

なんで今,笑ってるの。

今の私には,一周回って不気味。



「なんでも…ない!!」



苦し紛れに叫んだら,寝起きの喉は乾いていて,少しいたかった。