溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。




「どっちで,寝る?」



私は廊下で立ち止まって凪を上目で見ると,凪は言葉に詰まって



「真理の部屋でいいよ。そっちの方が僕も慣れてる」



そういった。

その後はいつも通りの凪で,私をエスコートするみたいに階段を上っていく。

さすが,私の家の勝手をよく知っているだけあった。

二人並ぶベッド。
電気を消した暗い部屋。

それはずっと過ごしてきた自分の部屋なのに,こんな状況にもなると知らない場所のように思える。



「……はぁ」



至近距離で,凪の息づかいが聞こえた。

私はそんな状況に,少し困る。

なんでか分からないけど,私は少しでも早く解放されたいと願っていた。

だって……

確かに私は添い寝くらいならいいと言った。
でも,抱き枕代わりにしていいとまでは言ってない…!

言うべきか,口をつぐむべきか。