溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。




「…あーあ。まだ離したくないなぁ」



頭上からポツリと呟かれて,私はどうしたらいいか分からなくなった。



「眠たいのにごめんね」



なんて凪に言われて,私は温かいなとだけ思う。

なんで謝られたのかも良く分からなくて,私は取り敢えず首を左右にふった。



「一緒に…寝る? 僕と」



そんな私にポツリと呟くように言うのは,もちろん凪。

私は眠たかったのが嘘のようにぱっちりと目を開け,分かりやすく硬直する。

今,なんて…?

いつも通り,本気と冗談の間の声で小さく聞かれた。

引き下がる,諦める準備はできてるよっていう声。

でもどこか,私には切なく聞こえた。
凪がどんな気持ちでそんなことを言ったのかは分からないけど。